マンションの騒音について苦情を言おうとするとき、次のような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
「苦情を言うべき騒音の基準ってあるの?」
「どれぐらいの音の大きさなら騒音として認められるの?」
「みんなはどれぐらいの音なら我慢してるの?」
いちいち苦情ばかり言ってると、神経質で面倒臭い人と思われ、関係がギクシャクするのではないかという心配もありますよね。思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。
トラブルに巻き込まれるぐらいなら、騒音を我慢し続けるほうが賢明なのではないか・・・そんな考えに支配され、辛い毎日を送っている人もいるでしょう。
ここでは、どれぐらいの音なら苦情を言うべきなのか、そしてトラブルを起こすことなく苦情を伝える方法について紹介します。
どれぐらいの騒音なら苦情を言うべきか
マンションに住んでいる以上は、ある程度の生活音は受け入れる姿勢が必要です。
まったく音を出さずに生活をすることは不可能ですし、どれだけ防音設備が整ったマンションでも無音というわけにはいきません。
でも、度を超える非常識な騒音に対しては黙っていられませんよね。
では、どれぐらいの騒音なら苦情を言うべきなのでしょうか?どこまでなら我慢するべきなのでしょうか?
これは非常に難しい問題です。音に対する感じ方はそれぞれだからです。
なんでもかんでも苦情を出しているとクレーマー扱いされたり神経質だと思われたりすることもあるので、躊躇してしまいがちです。
騒音というものの定義は曖昧であり、簡単に数値化できるものではありません。
次項では、一般的に騒音と呼ばれるものがどれぐらいの音なのかの目安を示しておきます。
苦情を言うべき騒音の目安
苦情を言うべき騒音は「受忍限度を超える音」であるということを目安に考えるといいでしょう。
「受忍限度」とは「ここまでの騒音なら受け入れるべき」という音の大きさです。
「受忍限度」とは「我慢の限界」といったような個人の感覚に基づくものではありません。第三者が騒音かどうかを判断するためのものです。
その音が騒音と呼ぶにふさわしいかどうか、一線を超えているかどうかを判断するための基準が受忍限度です。
この受忍限度を超える大きさの音であれば不法行為として成立するため、苦情を言う際の建前として使えます。
また、管理会社などの第三者に解決を依頼する際にも、受忍限度が目安になります。受忍限度を超えた音なら解決する責任があるからです。
では、どのような音が「受忍限度を超える音」といえるのでしょうか。
騒音計の数値
その音が受忍限度を超える音かどうかを第三者が判断するための最も明確な目安になるのが、物理的な騒音の大きさです。
騒音の大きさは騒音計で図ることができます。基準を超えた大きさの音が計測された場合は、受忍限度を超えた音ということになります。
受忍限度を超える音の基準は住居や地域にもよりますが、一般的には午前8時から午後6時までは50db(デシベル)、午後11時から午前6時までは40db、その他の時間帯は45dbといったように、時間帯ごとに定められています。
健康状態に支障が出る
騒音によって身体に悪影響が現れた場合は、受忍限度を超える音と認められます。
ストレスによる健康被害やノイローゼになってしまったなどのケースです。
ですが、健康被害を主張してもそれはあくまでも本人の主張でしかないので、それだけでは受忍限度を超える音とは判断されません。
受忍限度を超える音と判断されるためには健康被害を立証する必要があります。
生活に支障が出る
夜中の騒音によって眠れない、または早朝の騒音で朝早くに目覚めてしまい、睡眠不足によって仕事や学業に手がつかなくなってしまったという状況に陥った場合も、苦情を言うに値するでしょう。
この場合も先の健康状態に支障が出る音と同じく、主張するだけでは受忍限度を超える音と判断されないかもしれません。
ですが、夜中や早朝などの時間帯に大きな音を出すなど、一般常識から大きく外れた音の場合は受忍限度を超えたと判断されます。
どのように苦情を言うか
では実際に苦情を言う場合、どのような方法をとれば良いのでしょうか。
この時に考えなければいけないのが、苦情をいうのが「何のため」なのかということです。その目的を見失ってはいけません。
相手を痛めつけるためでしょうか?うっぷんを晴らすためでしょうか?違いますよね。快適な生活を送れるようにするためのはずです。
であるならば、優先して取るべき行動はただひとつ。「第三者を介して苦情を伝えてもらう」ということです。
直接苦情を言うのはトラブルの元
なぜ第三者を介する必要があるのでしょうか。直接言ったほうが早いような気もするでしょうが、それでは結果的に遠回りになるか解決できなくなる可能性があります。
直接言うと、感情的になる恐れがあります。苦情で悩んでいる本人の口から伝えるのですから、必ずしも冷静に対処できるとは限りません。
それに、相手によっては逆ギレされたり仕返しをされたりする場合もあります。騒音がさらにヒートアップし、解決できなくなるかもしれません。
そのような理由から、騒音の状況や悩んでいる心情を冷静かつ的確に相手に伝えるには、第三者に依頼するべきです。
管理会社に依頼する
まず始めにおこなうべきなのが、マンションの管理会社に相談するということです。
管理会社には住人に快適な生活を提供する義務があり、受忍限度を超えた騒音については解決しなければいけません。
詳細はこちらのページをご覧ください。
警察に通報する
管理会社に依頼しても解決しなかった場合や、今すぐ騒音を収めたい場合などに有効なのが、警察への通報です。
ただし、即効性と威力が高い反面、リスクもあります。状況によっては有効な手段となるでしょう。
詳細はこちらのページをご覧ください。
手紙を書く
第三者というわけではありませんが、間接的に苦情を伝えるという意味で、手紙を書くという方法を紹介します。
手紙ならば直接対面するわけではないので危険性もなく、冷静に文章に起こすことができます。
ただし、読んでくれた反応を伺うことができませんし、無視されてしまうデメリットもあります。
詳細はこちらのページをご覧ください。
まとめ
- 苦情を言う騒音の目安は「受忍限度」を超える音
- 苦情は直接言わずに第三者を介して伝える
- まずは管理会社に相談する
騒音というものの定義が曖昧なため、解決することは安易ではないかもしれません。
ですが、可能な限りトラブルを起こさずに対処できる手段を選ぶようにしましょう。
気持ちよく住める環境にするために、決して感情的になって相手と争ってはいけません。
そのためには騒音の状況を客観的に判断し、第三者を介して冷静に状況を伝えるように努めましょう。